“Sous le pont Mirabeau coule la Seine…”
Guillaume Apollinaire
「ミラボー橋の下をセーヌは流れる」で有名なギヨーム・アポリネールの詩。
シャンソンを聞いて、その詩をフランス語で読んで好きになりました。
切なくて大好きな詩です。
ミラボー橋から近いところに住んでいたこともあり、さらに特別な詩になりました。
2回目のフランス暮らしの際にふたたび日本への帰国が決まったとき、学校帰りにアパルトマンからまだ近かったミラボー橋に行って何時間もセーヌ川の流れを見ていたことを思い出します。
またさよならなんだなと思いながら、夕暮れにだんだん染まるパリの街を見ていました。
※ミラボー橋からはエッフェル塔と自由の女神が見えます。
パリに対する私の気持ちは恋だと昔から思っていました。
大学の編入試験面接でもそのことを言ったぐらいです。
パリのことを思うと湧き上がるように嬉しくて、切なくて、幸せすぎる気持ちなのに寂しくて涙が流れるといった胸がいっぱいになるような感覚を味わいます。
日本に帰国していた小学生のとき、音楽の教科書に『オー・シャンゼリゼ』の歌詞と共にパリの白黒写真が載っているのを見て、嬉しくて悲しくて胸がいっぱいになってしばらく穴が開くほど眺めていました。見続けていたら、写真の中に入れるかもしれないなんて夢のようなことを考えながら…
それは授業中だったので、終わってからこっそり1人で泣きました。
説明できないような気持ちでしたが、今ではこれが “愛する” 気持ちなのかもしれないと思っています。
実らない恋に近いこの気持ちに、まさに『ミラボー橋』の詩が響きます。
“
L’amour s’en va comme cette eau courante
L’amour s’en va
Comme la vie est lente
Et comme l’Espérance est violente
Vienne la nuit sonne l’heure
Les jours s’en vont je demeure
Passent les jours et passent les semaines
Ni temps passé
Ni les amours reviennent
Sous le pont Mirabeau coule la Seine
Vienne la nuit sonne l’heure
Les jours s’en vont je demeure
”
の節がとくに好きです。
フランス現地の高校で文系に進み、フランス文学を学んだのですが、その中でもla poésie 詩が1番好きでした。
やっぱりフランス語の詩は美しいと思います。
この前のフランス旅行でパリ最大の墓地、ペール・ラシェーズ(Cimetière du Père-Lachaise)を訪れました。
たくさんの著名人が眠るペール・ラシェーズですが、大好きな詩人や作家のお墓に参り、アポリネールのお墓も参りました。
※墓石にはアポリネールの作品『カリグラム』(Calligrammes)の文字で絵を描いた詩が。ハート型で“Mon cœur pareil à une flamme renversée”(私のハートはひっくり返った炎のよう)とかかれていました。ハートの形を逆さまにすると炎のように見えるというカリグラムらしい意味合いも含みながら、この1文に様々な意味を込めたと思います。
ここに立つと『ミラボー橋』の詩が勝手に頭の中を流れ、永遠に人々の心に残る詩を残したアポリネールに改めて感動を覚えました。
38歳の若さでこの世を去ったアポリネールですが、たくさんの彼の作品が永遠に生き続けていると思うと感慨深いです。
Bonne Nuit Paris…🌟